術後はどんなこと
に注意が必要?
術後の見え方
白内障手術でやはり気になるのは、手術後に見え方はどうなるのか? ということでしょう。
ここでは、手術後の見え方や、注意すべきポイントをご説明します。
よく見える!
白内障以外に特に眼の異常がなければ、手術の翌日からよく見えるようになります。
視力がなかなか回復しない・・・
- ・網膜に他の疾患があり、視力の回復が思わしくないことがあります。
- ・白内障が進行してからの手術などで手術時間が長かった場合、手術後すぐは角膜にむくみが出て、しばらく見えづらいことがあります。
- ・眼内レンズでの見え方に脳が慣れていない可能性があります。
なんだかまぶしく感じる・・・
手術で急に水晶体の濁りが取れたために、少しまぶしすぎるように感じることがあります。時間とともに気にならなくなりますが、辛い場合はサングラスをかけるとよいでしょう。
青みがかって見える・・・
手術前は、水晶体が濁って黄色味を帯びている状態でした。その濁りがとれて、青色の光が入りやすくなっているため、ものが少し青みがかって見えることがあります。片眼のみ手術した場合に、特に気になることが多いようです。3ヶ月程度で、気にならなくなる方がほとんどです。
視界に黒いものが飛んでいる・・・
視界に黒いものが飛んでいるように見えることを、飛蚊症といいます。手術後に見え方が改善することで、前からあった飛蚊症に気づいたり、より気になるようになったりすることがあります。ほとんどの飛蚊症は生理的なものですが、ごくまれに網膜剥離などの前兆である場合もあるため、気になる場合は眼科で検査を受けるとよいでしょう。
自動車のライトがまぶしい、輪がかかって見える・・・
眼内レンズに反射した光が散乱するために起きる現象です。強い光を見たときや夜間に起きることが多くあります。最初は気になっても、時間の経過とともに慣れて気にならなくなりますが、気になる場合は眼科で相談しましょう。
術後の
日常生活
白内障手術で得られたクリアな視界を維持するために、いくつか気をつけるべきポイントがあります。
手術直後~1週間後
- 指導されたとおりに目薬を点眼する
- 眼内炎予防のために、抗菌薬、炎症をおさえるステロイドと非ステロイド性抗炎症薬の3種類を処方されることが一般的です。差す間隔も定められているので、指導された内容はきちんと守りましょう。
- むやみに眼を触らない
- 手術跡からばい菌が入るのを防ぐために、眼を強く叩いたり、こすったりしないように気をつけましょう。
- 洗顔・洗髪は1週間は控える
- 固く絞ったタオルで拭くことは可能です。
- 飲酒・喫煙は1週間は控える
- 眼に刺激となることがあります。食事には特に制限はありません。
- 身だしなみにも注意を!
- お化粧は、手術から1週間は控えめにしましょう。
アイメイクは1カ月間はやめておきましょう。
美容院でのヘアカラーやパーマも、手術後1カ月経ってからにしてください。
電気カミソリによる髭剃りは、手術の翌日から可能です。
- 仕事や運動はほどほどに
- 軽い散歩や日常での家事、デスクワークであれば手術の翌日から可能です。
重いものを持つなどの重労働は、手術後1週間は控えましょう。
また、汗をかくような運動も1週間は控えましょう。
- 見え方が安定すれば、運転は可能です
- だいたい手術後1週間程度で見え方が安定しますが、無理はせず、
見え方に十分慣れてから運転するようにしましょう。
手術の1カ月後
- 通常のスポーツは手術後1カ月以降から
- まずは、主治医に相談しましょう。水泳の際は、感染予防のためにゴーグルを着用してください。
砂が眼に入ったり、眼を打ったりする可能性があるスポーツも、手術後1カ月経過してから再開しましょう。
- 旅行は手術後1カ月は避けましょう
- 遠方への旅行、温泉の利用は手術後1カ月以降にしてください。
外せない予定がある場合は事前に医師に相談し、手術日を調整します。
手術の2カ月後以降
- 手術後の見え方に合った眼鏡を作る
- 個人差はありますが、裸眼での見え方が安定するのは手術から1~2カ月後です。眼鏡を作る場合は、視力安定まで十分な期間を空けたほうがよいでしょう。
ここに記載した以外にも、手術後になにか予定がある場合は、手術日を決める前に医師に必ず相談しましょう。
合併症に
ついて
手術前の合併症リスク
手術前の眼の状態によっては、手術後の見え方に影響が出る場合があります。
- 角膜に混濁や白斑(角膜についた傷が残ったもの)がある
- 外傷や角膜の感染症のあとにできることが多く、白内障の手術後も見えにくさが残ることがあります。
- 角膜内皮障害
- 角膜内皮細胞が通常より少ないことで、手術前の検査でわかります。角膜内皮細胞が少ないと、手術後に極度の視力低下や痛みが生じることがあります。
- 糖尿病網膜症
- 糖尿病網膜症があることで白内障手術に影響があるわけではありませんが、手術後に一時的な視力低下を起こすことがあるので注意が必要です。
- 網膜剥離
- 失明にいたる可能性のある病気ですので、手術前の検査で網膜剥離が見つかった場合は、一緒に手術を行います。
- 緑内障
- 緑内障による視野の欠けは白内障手術後も残るため、手術前に緑内障の状態をしっかり把握しておきます。
その他の網膜の疾患や弱視・斜視がある場合も、手術後に見えにくさが残ることがあります。
手術中の合併症リスク
手術中の合併症には、主に以下のようなものがあります。
- 後嚢破損
- 水晶体を包む嚢の後ろ部分が破れてしまうことで、白内障手術の軽度の合併症です。
- チン小帯断裂
- 水晶体を支えるチン小帯という糸のような組織が断裂することで、眼を打ったことのある患者さんでリスクが高いとされています。
通常の方法で眼内レンズを挿入することができないため、手術を複数回行う場合があります。
- 術中虹彩緊張低下症候群
-
手術中に虹彩(眼の瞳の部分)がふにゃふにゃした状態になることで、手術操作が非常にしづらくなります。
前立腺肥大症の薬(α1遮断薬)を服用している患者さんの副作用とされますが、α1遮断薬を飲む人すべてに起きるわけではありません。
手術後の合併症リスク
手術後すぐに起きる合併症と、時間が経ってから起きる合併症があります。
- 術後眼内炎
- 手術後に眼が細菌感染して炎症を起こすことで、術後合併症として最も注意が必要なものです。
重篤な場合は失明に至ることもありますが、手術後にきちんと目薬を差してケアすることで、リスクを抑えることができます。
- 眼圧上昇
- 一時的に眼圧が上がり、吐き気や頭痛が生じることがあります。
- 後発白内障
- 白内障手術で見え方が改善されても、しばらくすると再び視力低下や眼のかすみを感じることです。
眼内レンズと水晶体後嚢の間に濁りが生じることで発生します。レーザーによる日帰り手術で治療することが可能です。
- 眼内レンズの傾きや脱臼
-
手術後に長期間が経過して眼の組織がもろくなり、眼内レンズが傾いたり外れたりしてしまうことです。
再び手術をして、新しい眼内レンズに交換します。