眼内レンズって、
どんなレンズなの?
眼内レンズ
とは
眼内レンズがまだなかった頃、白内障の手術は濁った水晶体を取り除くだけのものでした。しかし、その方法による手術後は強度の遠視となってしまい、患者さんは分厚い眼鏡をかけざるを得ませんでした。
その後、人工水晶体である眼内レンズが誕生し、手術後の患者さんの生活は快適なものになりました。
今なお、眼内レンズは進化を続けています。眼内レンズには、
いくつかの種類があり、それぞれの特徴や構造にも違いがあります。
眼内レンズの一例
- 眼内レンズは、丸いレンズ本体と、眼の中にレンズを固定するための2本の支持部で構成されています。
- レンズの直径は約6mm、支持部を含めた全長は約13mmです。
折りたたまれた
眼内レンズ
眼の中で開く
ほとんどのレンズが、柔らかいアクリル樹脂でできています。柔らかい素材を使うことで、下図のようにレンズを折りたたんだ状態で眼の中に挿入することができます。
レンズを折りたたむことで切開創が小さいもので済むため、
傷の治りが早くなったり、手術後の乱視を軽減する効果が期待できます。
眼内レンズ
の安全性
眼内レンズは自分の身体の中に入るものですから、品質や耐久力など、安全なものなのかどうかは、非常に気になる点ではないでしょうか。国内で処方されている眼内レンズは、厚生労働省が認めた医療機器として、国の機関による厳正な審査を通っているものです。※ 折りたたまれたレンズが正しく形状復帰するか、強度は充分か、眼の中で劣化したりしないか、また、アレルギー反応を起こさないか、遺伝的に何らかの影響を及ぼす可能性はないか、身体に有害な影響がないかどうかを、複数の試験で確認しています。
- ※稀に個人輸入の物がありますのでしっかり確認しましょう。
眼内レンズは眼の中でも安定する素材で作られ、永久に保存されます。
眼内レンズ
進化の歴史
- 1949年
眼内レンズの誕生
白内障治療の標準様式として確立
このときの眼内レンズは非常に硬い素材でできており、レンズの直径6mmと同じ大きさだけ眼を切開していました。
- 1980年代
白内障手術の転換期
さまざまな手法が混在現在の手術でも使われる手法が誕生
医療機器や手技の進歩により、切開創の小さい超音波水晶体乳化吸引術(PEA)が標準様式となっていきました。
- 1980年代
-
1990年代
はじめ柔らかいシリコーン、アクリル製の眼内レンズが登場
小さな切開創で眼内レンズ挿入が可能に
柔らかいシリコーンやアクリル製の眼内レンズが登場し、患者さんへの負担を最小限に抑えた手術が可能になりました。
- 1990年代
中頃高機能レンズが誕生
トーリックレンズ(乱視矯正)
2焦点レンズ- 2000年代
はじめさまざまな付加価値をもつ
アクリル製レンズが登場着色レンズ
非球面レンズ - 2007年
日本にて2焦点レンズが承認
2008年には先進医療として認定も
- 2000年代
- 2014年
日本にて2焦点トーリック(乱視矯正)レンズが承認
- 2019年
日本にて初の3焦点自然視覚レンズ(3焦点レンズ)・ 3焦点⾃然視覚トーリック(乱視矯正)レンズが承認
遠・中・近の3点に
焦点を合わせた高機能レンズ
2007年に日本で2焦点レンズが承認されてからは、2焦点トーリック(乱視矯正)レンズ、3つの焦点距離をもつ3焦点自然視覚レンズ(3焦点レンズ)・ 3焦点⾃然視覚トーリック(乱視矯正)レンズも厚生労働省の承認を受けており、白内障患者さんの選択肢はさらに広がっています。